子ども型見守り介護ロボット ”HANAMOFLOR”（ハナモフロル）を日本科学未来館に常設展示

2023年11月22日より一般公開される日本科学未来館の新常設展示に、ソニーグループ株式会社のTechnology Infrastructure Centerで開発中の子ども型見守り介護ロボット ”HANAMOFLOR”（ハナモフロル）が展示されます。HANAMOFLORが一般向けに常設展示されるのは、本展示が初めて。「ロボット」「地球環境」「老い」をテーマに新たに公開される4つの常設展示のうち、HANAMOFLORは「老いパーク」に展示され、人間の老化をサポートする未来の技術として紹介されます。

子ども型見守り介護ロボット “HANAMOFLOR”（ハナモフロル）について

概要
職員一人が複数の利用者をケアする介護業務において、手薄になりがちなリビング空間などでの見守り業務のサポートを想定し、開発されている自律移動型ロボット。親しみやすいよう「子供（孫）」をイメージした姿形と音声（全高83cm、自重約20kg）をしている。予め決められたプログラムにしたがって、一緒に歌う／パタカラ体操／簡単な会話などの1対1のレクリエーションができるほか、体温計測／家族からの電話の取次ぎなどの機能を搭載している。

開発経緯
ソニーグループでは、人と共存しながら、社会や人の役に立つロボットの研究開発に取り組んでいるが、高度なロボティクス技術の研究とともに、ロボットの実用化に向けた顧客ニーズの探索活動にも取り組んでいる。
そうした探索活動の中で、人材不足の課題が深刻となっている介護分野において、日々の介護業務のサポートや利用者のQOL（クオリティ・オブ・ライフ）の向上に、真に役立つロボットを目指して開発をスタートした。

　介護施設でのニーズ調査

施設では、スタッフ一人が複数名の利用者をサポートしなければならないことに加え、バックオフィスの業務もあるため、常時全ての利用者と対峙することは難しい。実際に一日の約半分の時間で、利用者が過ごす共用のリビング空間が職員不在にならざるを得ない状況が分かった。

介護施設では、利用者が見守られ安心して過ごせる空間があって初めて、スタッフだからこそできる個別のケアが成りたっている。職員が不在で対峙してくれる人がいない時、特に認知機能の衰えがある利用者が精神的に不安定になり、無理に立ち上がって動き回ろうとしてしまったり、怒ってしまったりしてしまうことがある。ロボットにより簡単な業務サポートとコミュニケーションを提供することで、こうした状況を少しでも回避することができるのではないかと考えた。

コア技術
調査結果をベースに、施設の職員や利用者のニーズに合わせた機能や技術を実装している。自律移動型ロボットに必要な基本技術に加え、特に認知症の症状のある人（未知の物事への不安が強い方）でも受け入れやすいように、介護技術「ユマニチュード」のアプローチを取り入れている。具体的には、ゆっくり近づく→覗き込んで目を合わせる→挨拶から本題まで徐々に話を進行するようなプログラムをしている。さらに、相手の反応を待ってから対話やレクリエーションを進行するように、顔認識や発声認識を実装している。

2019年ごろから、特別養護老人ホーム「よみうりランド花ハウス」の協力の下、介護施設の利用者や運営者のニーズ調査を実施し、ロボットの開発をスタート。2021年からは、施設内での共同実証実験を定期的に実施している。
また、2023年からは、ロボット学者の石黒浩先生が統括する「ムーンショット型研究開発事業ムーンショット目標１～誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」にも参画している。

今後は、より多くの介護施設の方に興味をもっていただき、一日でも早く世の中に技術を届けられるよう、技術開発と顧客ニーズの探索に取り組んでいく。

関連情報
・日本科学未来館 新常設展に関する情報：
https://www.miraikan.jst.go.jp/resources/exhibitions2023.html
・特別養護老人ホーム「よみうりランド花ハウス」での活動：
https://www.hana-house.org/blog/2023/05/post-172.htm
https://www.hana-house.org/blog/2022/09/post-148.htm