産業応用へ向けた量子アルゴリズムの動向と展望
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未来の技術と考えられていた量子コンピューティングが、俄かに現実味を帯び、産業界からも多数の企業が研究開発に参入している。近年では複数の量子ハードウェアクラウドサービスが立ち上がり、ユーザーが異なるハードウェア方式から用途にあったものを選択できるなど、多様なアプリケーション開発環境が整ってきた。一方で、現行デバイスではノイズやスケーラビリティの制約が厳しく(NISQ)、恩恵が明確な量子アルゴリズムの実用化(FTQC)には未だ長期的な開発が必要である。量子計算の社会実装には、ハードウェアの実現に加え、量子計算の優位性を引き出す多様なアルゴリズムの開発と合わせて、量子計算が得意な問題設定に合致する産業領域を幅広く探索していくことも、今後一層重要になると思われる。本講演では、有望な応用先として考えられている量子金融や量子機械学習の動向を、弊社が 2020年から参画している慶應義塾大学量子コンピューティングセンターにおける取組みや成果を交えながら紹介する。合わせて、これまであまり表舞台に挙がっていないが、応用例として興味深いと思われる話題も取り上げる予定である。