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2024.07.12

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ソニーグループ(株)の市木 祥二らが「2024 World Seagrass Conference & 15th International Seagrass Biology Workshop」でブルーカーボンセンシングの研究成果を発表

ソニーグループ(株)の市木 祥二らの研究チームは、株式会社FullDepthと北海道大学との共同研究において、ブルーカーボン生態系によるCO2吸収量の定量化に向けて、ソニーグループが開発した海中ビジュアルセンシング技術を […]

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ソニーグループ(株)の市木 祥二らの研究チームは、株式会社FullDepthと北海道大学との共同研究において、ブルーカーボン生態系によるCO2吸収量の定量化に向けて、ソニーグループが開発した海中ビジュアルセンシング技術を活用することで海中藻場認識マップの作成に成功しました。

そして、6月17-21日に開催された海草生態系の世界的トップカンファレンスWSC2024 & ISBW15 (2024 World Seagrass Conference & 15th International Seagrass Biology Workshop) に、ポスター展示にて研究成果を発表しました。

発表の概要をご紹介します。

研究概要
昨今、地球温暖化の原因の1つとなっている大気中のCO2の吸収・固定源として、マングローブや海中藻場などが注目されています。海洋生態系により吸収・固定化される炭素「ブルーカーボン」を算定し、その効果を明らかにするとともに、海洋生態系の保全を進めるためには、現在の海底藻場の状態やその生体量を測る必要があります。 従来の計測手法では、地球観測衛星や空中ドローンも含む航空機を利用した画像解析や、ダイバーの潜水・探索による直接的な計測が行われてきました。

しかし、海域によっては深さや濁りなどにより、地球観測衛星や航空機の画像では計測が困難なケースがある他、ダイバーの高齢化や海中での長時間活動の危険性が課題となっています。また、位置を推定するためのGNSS (全球測位衛星システム) の代替手段として、海中では音波による測位が一般的ですが、高い背の海草が生息する海域では音波のマルチパスの影響により誤判定が生じてしまい、正しい位置を推定できないことも課題の一つです。

そこでソニーは、高速・高感度なグローバルシャッター方式のイメージセンサーを活用したビジュアルセンシング機器を開発し、既存の水中ドローンに搭載することで、位置推定と画像解析による海底藻場の生息域や生体量、その種類など測定する研究を進めています。

(参考記事)
地球環境問題への挑戦 3Dセンシング技術と水中ドローンで北海道・厚岸湾の藻場を解明せよ | 特集 | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ (sony-semicon.com)

研究成果
本共同研究を通じて開発した技術は、大きく3つあります。

  1. 濁りや浮遊物など海中環境に特化した画像鮮明化技術
  2. 地上で培ってきた3Dセンシング技術の海中環境適用。自律移動ロボットやドローンなどに使用される自己位置推定技術であるVisual-Inertial-SLAMを水中に適用して、水中ドローンの位置をリアルタイムで推定することができます。
  3. AI技術による海草/海藻の被度認識器

これらの技術を通じて取得した画像や認識結果、位置情報のデータから、藻場の認識マップを生成する手法も開発しました。
実際の実験では、水中ドローン操縦者は、Visual-Inertial-SLAMで推定された軌跡をリアルタイムで見ながら機体を操縦し、抜け漏れのない海中藻場認識マップを作成することができました。

発表ポスター
コンブ系の海藻を水中ドローンでセンシングしたVisual-SLAM処理結果

学会に参加していた海草生態系の研究者やリモートセンシング関係者からは、水中ドローンを活用したビジュアルセンシングによるアプローチ方法および検証結果に対して、ポジティブな評価を得られました。

番外編
これらの技術を活用し、海中の3Dモデリングにも取り組んでいます。

以下の動画は、同じく水中ドローンを使って石垣島のサンゴ群を撮影し、そのデータから生成した3Dモデルです。

対象を高精細にとらえられる画像認識やイメージング技術だけではなく、ドローンの位置情報を取得できる技術、モデル生成のための画像処理技術の全てが組み合わさることで、細部まで再現することができています。

ソニーグループでは、イメージセンサー技術、画像信号処理技術を海中へ応用し、ブルーカーボン生態系の定量化や海中の見える化を実現する技術開発に取り組むことで、地球環境の問題や海洋課題の解決に貢献してまいります。

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